「フェイス1」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか?
厳冬期。水温5度。止めて喰わせる、冬の“切り札”──。
そう、清水盛三が信念を込めて作り上げたあのジャークベイトは、
冬のディープレンジや早春のプリスポーンにこそ強いと、長く語り継がれてきた。
でも、その“止めて食わせる”美学は、夏も、秋も、信じて投げ続けられる理由になる。
高水温期のシャローで。
秋のベイトパターンで。
そしてもちろん、真冬のサスペンドバスにも。
フェイス120は、“ただの冬ジャーク”では終わらない。
清水盛三が世界を舞台に戦ってきた、その背中の哲学が詰まった、オールシーズン対応の信頼ルアーだ。
この記事では、そんなフェイス120の魅力を、季節ごとの使い方・実釣例とともに深掘りしていく。
Contents
2. Interest|基本スペック & 開発ストーリー
バスの活性が落ちる冬や、プリスポーンの“止めないと喰わない”タイミングでこそ威力を発揮するルアー──それが フェイス。
だがこのルアーの真価は、スペックを読み解けば読み解くほど、「止めて喰わせる」ことへの徹底した執念にある。
項目 | データ |
---|---|
全長 | 11.5 cm |
重量 | 18.6 g |
タイプ | スローフローティング |
潜行レンジ | 1.0〜2.0 m |
重心移動 | タングステン 2 ウェイト+マグネットシステム |
水を大きく押す“厚みあるボディ”と、水をつかむ“ロングビル設計”。
そこに加わるのが、盛三流のキーワード──「グローバルサーチベイト」。
日本のフィールドはもちろん、広大なアメリカのトーナメントシーンでも通用するようにと、一本で広く・深く探れる“探査力”**と、**ポーズでバイトを誘える“喰わせの静止力”の両方を備えている。
▸ 清水盛三(The King)の“信念”が詰まった設計
「FAITH」──それは英語で「信念・信頼」という意味。
フェイスの名には、「このルアーを信じて投げ続けられるものを作る」という、キング・清水盛三の哲学が込められている。
「このルアーは、止めてるときに喰わせる。
ジャーク後の“張らず緩めず”のラインテンションで、バスが勝手に口を使う。」
(清水盛三インタビューより)
フェイスは、アクション中よりも止めている時にこそ最大の仕事をする。
この“ポーズで喰わせる”という思想は、盛三が米B.A.S.S.エリート戦で培ったリアルな経験値から来ている。
▸ B.A.S.S.エリートで「信頼度No.1」だった話
清水盛三がB.A.S.S.エリートに参戦していた時代、彼がこう語ったことがある。
「アメリカで戦ってると、持って行けるタックルに限りがある。
その中で“どれか一つ”って言われたら、フェイス120だけは絶対に入れる。
それぐらい、このルアーは俺の中で信頼度No.1。」
冷え込んだ試合、水温一桁のレイク、広大なフィールド。
その中でバスの居場所を探し、“止めて、信じて待つ”ことで釣ってきたルアー。
フェイスは、そんな清水盛三の“勝負ルアー”として、いまなお世界中で投げ続けられている。
なぜ“冬専用”で終わらないのか
「フェイス120=冬の切り札」
──そんなイメージを持つ人も多いはずだ。
確かに、極寒のプリスポーンでこそ真価を発揮する場面が多い。だが実際には、このルアーは1年を通して活躍するオールシーズン・プレイヤーだ。
季節ごとに表情を変える“信念のジャークベイト”の使い方を見ていこう。
3-1. 厳冬期・早春(プリスポーン)
フェイス120の“代名詞的シーン”といえば、この時期だ。
水温5〜10℃、サスペンド気味のバスに対しては、「動かさない勇気」こそが鍵を握る。
ジャーク→ポーズ。
このポーズの時間を5秒、10秒、時には15秒と長く取ることで、弱ったベイトを演出。
その間、ラインテンションは「張らず、緩めず」。まさに盛三が言う“張力の中間”が、フェイス120を止めて魅せるための必須条件となる。
「止めてるときに喰うから、信じて止められるかどうかが勝負」
——清水盛三
カラーはクリアウォーターでの定番「メタルサンシャイン」から、**ローライト・濁り潮対応の「ゴーストアユ」へのローテーションが効果的(盛三本人もこの2色を推奨)。
3-2. 初夏〜真夏
意外かもしれないが、フェイスは真夏のシャローでも強い。
活性が上がったバスは、表層〜中層をフラついていることが多い。
そんな時こそ、フェイス120のロールアクションとワイドな首振りが効く。
“ピッチ早めのジャーク”+“ポーズは短く”というリズムに切り替えれば、リアクション狙いとして十分戦える。
実際、奈良・高山ダムでは真夏の陸っぱりで猛暑バイトが連発したという声も多く、
「クランクでは届かないけど、ミノーでは弱い。だからフェイスの出番。」
というアングラーもいる。
盛三自身も、「夏に使ってこそ、このルアーの本当の良さがわかる」と語っている。
3-3. 秋のベイトパターン
秋、シャローにベイトが集まる季節。
フェイスは、いわば“クランクの代わりに投げられるジャークベイト”として真価を発揮する。
動きが直線的になりやすいクランクベイトに対し、
フェイス120は横スライドとロールが複雑に絡み、ベイトボールを切り裂くような動きが出せる。
おすすめのアクションは「3 ジャーク 1 ポーズ」。
このリズムでテンポよく投げ倒せば、広範囲を“立体的にサーチ”しながら喰わせに持ち込める。
つまり、フェイス120は
☑ 冬のサスペンド攻略に強く
☑ 夏のシャローでも信頼でき
☑ 秋のベイトパターンにも刺さる
──まさに「止めて、動かして、信じて釣れる」
清水盛三の哲学が詰まった、オールシーズン・ジャークベイトなのだ。
実践 HOW-TO
フェイスの魅力は、止めて喰わせる“理屈”だけじゃない。
使いこなすためのタックルセッティング、アクション、カラー選び、そしてチューニングには、清水盛三の現場経験がぎっしり詰まっている。
ここでは、季節とシチュエーションに合わせた“実践のコツ”を紹介しよう。
① タックルセッティング
基本は、ジャークのしやすさとラインテンションの維持を両立できるセッティング。
ロッド:ML〜Mクラス/6'6"〜7' ベイトロッド
→ 硬すぎず、ラインスラックを利用しやすいロッドが理想。ライン:フロロカーボン 10〜14lb
→ 冬やクリアウォーターでは10〜12lb、濁り&カバー周りでは14lbも視野に。
→ レンジを安定させたいなら12lbを基準に使うのが安心。
② 基本アクション 3パターン
フェイスのキモは「止める」ことだが、止める“まで”の動きも、喰わせの一部。
ロングポーズ(冬)
→ ワンジャーク → 10〜15秒ステイ
→ ラインを張らず緩めず、止める勇気を持つトゥイッチ&ステイ(春〜初夏)
→ 小さめの連続トゥイッチ → 1〜3秒ステイ
→ 食わせの“間”を意識したテンポジャーク3ジャーク1ポーズ(秋)
→ キレのある3ジャーク → 2〜3秒のポーズ
→ 横移動+ロールでベイトボールを切る
盛三曰く、
「このルアーは止めた時に釣れる。けど、“止める前の動き”が誘いになってる。」
つまり、ジャークとポーズはセットでひとつの“信号”なのだ。
③ カラー選びフロー
フィールドコンディションに応じた視認性とフラッシングのバランスが鍵。
クリアウォーター:
→ 透過系/ナチュラルカラー(ゴーストアユ、クリアレイクシャッドなど)
→ 見切られない“抜け感”がバスの口を使わせる濁り/ローライト:
→ 強フラッシング/ハイコントラスト(メタルサンシャイン、パール系など)
→ シルエットと明滅で「見せて喰わせる」
盛三も「同じアクションでもカラーで“圧”が変わる」と語っている。
④ 盛三流チューニング
最後に、モリゾーファンにはたまらない“味付け”を2つ。
フックサイズを#6に落とす
→ 標準よりも軽くしてほぼサスペンド化。冬や春のスローフィッシングで特に効果大。リアフックをフェザーフックに変更
→ 止めた時の“フワッとした誘い”で、低活性時のバイトを引き出す。視覚アピールも◎。
「このルアーは、止めれば釣れる。でも、“止める意味”を理解してからが本番。」
──そう言わんばかりの実戦型ルアー、フェイス。
自分の釣りに“信じて止める”という新しい軸をくれる、まさに信念の一本だ。
まとめ
冬の切り札──。
そんなイメージを抱かれがちなフェイスは、
実は季節を問わず信じて投げられる、オールシーズン対応のジャークベイトだった。
「止めて、喰わせる」だけじゃない。
「止める前」に何を伝えるか。
「信じて止めた」その時、何が起きるか。
清水盛三が世界の舞台で戦いながら貫いてきた“寄せて喰わせる哲学”が、
このルアーには確かに宿っている。
冬のサスペンドバス、
夏のシャローバス、
秋のベイトボール。
そのすべてに、フェイスという答えがある。


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